ストレスで胃が痛い、食べ過ぎで胃がもたれるなど胃の不快な症状は比較的日常的に起こりやすい症状の一つです。胃炎の種類にもよりますがそのまま放置していると胃潰瘍などの病気になってしまう可能性もあります。胃炎は炎症が軽いうちに早めに対処することが大事です。
胃炎には病院での治療が必要な場合と、家で市販薬を使ってある程度改善できる場合とがあります。市販薬にはH2ブロッカー、健胃生薬や胃粘膜保護薬などが配合された胃腸薬などさまざまな種類があり、症状に応じて使い分けることがポイントです。そこで今回は胃炎におすすめの胃薬の選び方と人気のお薬をランキング形式で紹介していきます。
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胃炎の原因と種類
胃炎といっても医学的には細かな分類があり、それぞれに対応の仕方、治療も変わってきます。市販薬で対応可能なのかどうか、まずはそこから確認しておくことが必要です。
胃炎には急性の胃炎と慢性の胃炎があります。「急性胃炎」は主に、
- ・ストレス
- ・食べ過ぎ、飲みすぎ
- ・食中毒
- ・アレルギー
- ・ウイルスやピロリ菌の感染
などが原因になります。キリキリと胃が痛んだり、吐き気や下痢を伴うこともあります。ひどい場合には血を吐いたり、下血することもあり、市販薬での対応はできないため病院を受診する必要があります。
「慢性胃炎」の場合は主にピロリ菌の感染が原因です。また、長期的に服用しているお薬の影響ということも考えられます。胃の粘膜が弱まり、慢性的に炎症が起きている状態で、放置していると胃潰瘍に発展してしまうこともあります。一時的には市販薬でも対応できますが、基本的には病院での治療が必要です。
「神経性胃炎」というストレスや過労による胃炎もあります。長期的にストレスに晒されることで自律神経のバランスが乱れて、胃痛や胃もたれや、喉が詰まる、気分がふさぐなどの症状が見られることもあります。
以上のような胃炎に関しては市販薬は対応できますが、基本的に一時的な胃の症状を抑えるために用いるべきであり、慢性的に胸焼けや胃の痛みを感じる場合や胃薬が手放せず、飲むのをやめるとぶり返してしまうような場合には市販薬で対処することは適切とはいえません。病院を受診するようにしましょう。
胃炎のおすすめの胃薬の選び方
胃炎に対応できる市販薬にはいろいろな種類があります。成分の違いによって症状を抑える効果には違いがあります。どんな症状か、また原因が何かによって使い分けましょう。次に選び方を紹介していきますので参考にしてください。
急性の胃痛・胸焼け・胃のもたれを感じる方
食べ過ぎ、飲みすぎたりして胃酸が出すぎた場合や、一時的なストレスの増大によって胃がキリキリと痛むというときには、胃酸分泌抑制効果の優れた「H2ブロッカー」が適しています。
H2ブロッカー(ファモチジン)は医療用として使われているお薬を市販薬にスイッチ化して一般の方でも購入することができます。(ただし薬剤師による説明と確認が必要です。)
胃酸の分泌を促すH2受容体をブロックすることで胃酸分泌を強力に抑えます。
胃酸分泌を抑制する効果に優れており、長時間効果が持続することが特徴です。ただし、優れた効果があるため症状が一時的に改善したように錯覚してしまうことから、慢性的な胃の病気の発見を遅らせてしまうことがあります。長期的に漫然と飲むことは控えましょう。
また、もう一つの胃酸の分泌に関わる胃粘膜の受容体である「ムスカリン受容体」に拮抗するお薬である「M1ブロッカー」にも胃酸の分泌を抑える効果があります。塩酸ピレンゼピンなどが市販されています。
H2ブロッカーより作用が劣りますが胃粘膜保護作用もあります。
食後に胃が痛む、もたれる方
食事中には食べ物を消化するための胃酸が分泌されますが、脂っこいものを食べたり、量を食べすぎたりすると胃酸が過剰に分泌されてしまいます。過剰に分泌された胃酸は自分の胃粘膜を侵してしまうために、胃痛や胃もたれなどの症状を引き起こします。
このような食後の胃の不快な症状には、胃酸を中和する制酸剤が入っている胃薬 が適しています。即効性はありますが、効果は一時的なので食事のたびに服用することが必要です。
また、食後数時間後に胃が痛むという場合には消化不良の可能性があります。消化酵素と健胃生薬などが入っているタイプの胃薬を使うと良いでしょう。
空腹時になると胃がキリキリと痛む、胸焼けする方
空腹時には通常胃酸の分泌と胃の粘膜を保護する物質のバランスが取れていれば、胃の痛みなどの症状はありません。しかし、何らかの理由により胃酸が多かったり、胃の粘膜を保護する物質が減ってしまうと胃粘膜が傷ついて空腹時にも胃の痛みが出ることがあります。
このような空腹時の胃の症状には胃粘膜の修復を促す作用のある胃薬(スクラルファートなど)や胃粘膜保護のお薬(テプレノンなど)があります。
慢性的な胃炎、胃が弱っている方
年齢や疲労などによって胃が徐々に弱ってくると、昔のように食べられなくなったり、食事のたびに胃もたれを感じるようになりがちです。このような弱った胃の回復を助けてくれるお薬としては「健胃薬」があります。健胃薬には生薬由来成分や胃腸の機能を調整するお薬(トリメブチンマレイン酸塩など)があります。
また、胃酸による攻撃を防ぐ効果のある胃粘膜保護成分としては、アルジオキサ、スクラルファート、アズレンスルホン酸ナトリウムなどがあります。
あらゆる胃の症状で困っている方
急性および慢性の胃の症状で、あらゆる症状が出てしまって何を飲んだら良いかわからないという場合には、総合胃腸薬を使うという方法もあります。総合胃腸薬には制酸剤、消化酵素、胃粘膜保護剤など複数の成分が少しずつ含有されています。 何となく胃がスッキリしない、消化が滞っているというときにも家庭に1本置いておくと便利です。
強いストレスや緊張による胃けいれんを抑えたい
胃の粘膜や消化などの影響ではなく、何らかの強いストレスや緊張が加わったときに胃がキューっと痛むということがあります。これは胃けいれんの症状で胃が異常に動いたり緊張することが原因です。このような場合にはいわゆる胃薬ではなく、胃の痙攣を抑える「鎮痙剤(ちんけいざい)」が適しています。
ロートエキス、ブチルスコポラミン臭化物、チキジウム臭化物などがあります。なお、緑内障や前立腺肥大などがある方は使うことができません。 また、常用すべきお薬ではないので、一時的な応急的なお薬として使うようにしましょう。
胃炎におすすめの市販薬人気ランキング8選
胃炎のときに使えるお薬は非常に多くの種類が販売されています。ドラッグストアや薬局に行くと多くの面積を胃薬が占めており、どのお薬を選んだら良いか迷ってしまう方も多いと思います。実際には症状に合わせたお薬を選ぶ必要がありますが、参考までに人気の胃炎に効くお薬をランキング形式で紹介していきます。
ただし、体質や治療中の病気、服用中のお薬がある場合などによってお薬が使えない場合もあります。気になる方は事前に医師または薬剤師に相談してください。
8位 【第2類医薬品】太田漢方胃腸薬II

1,486円 (税込)
- 詳細情報
- 剤形 錠剤
内容量 108錠
用法・容量 成人(15才以上)3錠/回・3回/日
医薬品の種類 第二類医薬品
ストレス性の胃炎、慢性の胃炎の方に
このお薬には安中散加茯苓末という漢方をベースにした成分が配合されています。もともと安中散という漢方があり、そこに茯苓をプラスすることで処方を強化しています。神経性胃炎や慢性胃炎、胃腸虚弱にも使うことができます。もともと神経が過敏なタイプで、胃に症状が出やすい方におすすめのお薬です。
7位 【第2類医薬品】新セルベール整胃錠

1,447円 (税込)
- 詳細情報
- 剤形 顆粒
内容量 30包
用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日
医薬品の種類 第二類医薬品
胃粘膜を保護するベールを増やして弱った胃を回復させる
新セルベール整胃錠には胃を守る・動かす・消化するといった3つの効果があります。胃粘膜保護成分で医療用でも使われているテプレノンを配合し、健胃生薬が胃を元気にし、消化酵素が消化を促します。
胃薬には錠数が多く飲みにくいタイプが多いですが、こちらは1回1錠で1日3回服用です。胃が弱っていると感じるとき、食後にもたれやすいときに助けになります。
6位 【第2類医薬品】パンシロン01プラス

1,214円 (税込)
- 詳細情報
- 剤形 微粒
内容量 48包
用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日
医薬品の種類 第二類医薬品
飲食後の胃の不快感を解消する胃薬
パンシロンにはいくつかの種類がありますが、こちらの01プラスというお薬は特に食後の胃のもたれ、不快感を解消する効果に優れています。胃粘膜修復剤、健胃生薬、消化剤、胃を元気にするニンジン末という生薬をプラスした総合胃腸薬です。飲みやすい微粒タイプで口の中でダマにならないでサッと飲めることが特徴です。
5位 【第2類医薬品】スクラート胃腸薬(顆粒)

11,368円 (税込)
- 詳細情報
- 剤形 顆粒
内容量 34包
用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日
医薬品の種類 第二類医薬品
胃粘膜修復成分スクラルファートなどが胃粘膜を修復
このお薬は主に胃の修復を促す作用に優れた成分が含まれています。スクラルファートが胃の粘膜に直接効いて胃酸からの攻撃を防ぎ、ダメージ部分の修復も行います。また、アズレンスルホン酸ナトリウムとL-グルタミンが炎症を抑えます。
さらに、胃酸を中和するケイ酸アルミン酸マグネシウムと合成ヒドロタルサイト、胃の痛みを素早く抑えるロートエキスが配合されています。ただし、このお薬にはアルミニウムが含まれているため透析を受けている方は服用できません。
4位 【第2類医薬品】大正漢方胃腸薬

1,598円 (税込)
- 詳細情報
- 剤形 微粒
内容量 48包
用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日
医薬品の種類 第二類医薬品
漢方処方をもとに作られている総合胃腸薬
大正漢方胃腸薬もCMでおなじみの商品ですが、安中散と芍薬甘草湯の組み合わせにより作られている漢方がベースの胃薬です。普段から胃が弱っている方や、不規則な食事や夏バテによって胃が一時的に弱ってしまったときに役立ちます。
胃のもたれや胃の不快感に特におすすめです。このお薬は漢方薬であるため、空腹時または食前の服用が吸収がよく効果的です。
3位 【第2類医薬品】太田胃散

1,326円 (税込)
- 詳細情報
- 内容量 48包
用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日
医薬品の種類 第二類医薬品
飲みすぎによる胸焼け、胃の不快感に効く
太田胃散は総合胃腸薬の代表的なお薬として長く販売されています。健胃生薬(自然薬物)に制酸剤、消化酵素を配合し、lメントールを配合していることからもスーッとした心地よい服用感が特徴です。
飲みすぎた後に胃がムカムカしたり、スッキリしないというときにもサッと飲めて便利です。自然の生薬の特徴を生かした総合胃腸薬です。
2位 【第2類医薬品】キャベジンコーワα

1,963円 (税込)
- 詳細情報
- 剤形 錠剤
内容量 300錠
用法・容量 成人(15才以上)2錠/回・3回/日
医薬品の種類 第二類医薬品
キャベツ由来成分MMSCが胃粘膜の修復を促す
昔からおなじみの定番の胃薬である「キャベジン」は胃薬の代名詞的な存在として知られています。このキャベジンにはキャベツから発見された「メチルメチオニンスルホニウムクロリド(MMSC)」が主成分として含まれ、傷ついた胃粘膜の修復を促します。また、他にも制酸剤、健胃生薬、消化酵素剤などがバランスよく配合されている総合胃腸薬です。あらゆる胃の症状に効くタイプです。
1位 【第1類医薬品】ガスター10

胃酸の分泌を強力に抑えるH2ブロッカー
医療用としても使われているH2ブロッカーのファモチジンを含有した錠剤です。他にも口の中で溶ける口腔内崩壊錠、サラサラした散剤と液体タイプがあり飲みやすさによって使い分けることができます。胃酸を中和するタイプの胃薬とは異なり、胃酸の分泌を速やかに強力に抑える効果があります。
急な胃の痛み、胃のもたれ、ムカつきなどに効きます。効果に優れていますが、2週間を超えて服用してはいけません。常用しないといけないような場合には原因を調べるためにも病院を受診しましょう。
胃炎におすすめの薬の比較一覧表
商品画像 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
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商品名 | 【第1類医薬品】ガスター10 | 【第2類医薬品】キャベジンコーワα | 【第2類医薬品】太田胃散<分包> | 【第2類医薬品】大正漢方胃腸薬 | 【第2類医薬品】スクラート胃腸薬(顆粒) | 【第2類医薬品】パンシロン01プラス | 【第2類医薬品】新セルベール整胃<錠> | 【第2類医薬品】太田漢方胃腸薬II<錠剤> |
特徴 | 胃酸の分泌を強力に抑えるH2ブロッカー | キャベツ由来成分MMSCが胃粘膜の修復を促す | 飲みすぎによる胸焼け、胃の不快感に効く | 漢方処方をもとに作られている総合胃腸薬 | 胃粘膜修復成分スクラルファートなどが胃粘膜を修復 | 飲食後の胃の不快感を解消する胃薬 | 胃粘膜を保護するベールを増やして弱った胃を回復させる | ストレス性の胃炎、慢性の胃炎の方に |
価格 | 1,469円(税込) | 1,963円(税込) | 1,326円(税込) | 1,598円(税込) | 11,368円(税込) | 1,214円(税込) | 1,447円(税込) | 1,486円(税込) |
詳細 | 剤形 錠剤 内容量 12錠 用法・容量 1錠2回まで 医薬品の種類 第一類医薬品 | 剤形 錠剤 内容量 300錠 用法・容量 成人(15才以上)2錠/回・3回/日 医薬品の種類 第二類医薬品 | 内容量 48包 用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日 医薬品の種類 第二類医薬品 | 剤形 微粒 内容量 48包 用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日 医薬品の種類 第二類医薬品 | 剤形 顆粒 内容量 34包 用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日 医薬品の種類 第二類医薬品 | 剤形 微粒 内容量 48包 用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日 医薬品の種類 第二類医薬品 | 剤形 顆粒 内容量 30包 用法・容量 成人(15才以上)1包/回・3回/日 医薬品の種類 第二類医薬品 | 剤形 錠剤 内容量 108錠 用法・容量 成人(15才以上)3錠/回・3回/日 医薬品の種類 第二類医薬品 |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
市販の胃薬を使う上での注意点
市販薬を使っても効果が見られない場合や、症状が長く続きお薬が手放せないような場合には早めに病院を受診することをおすすめします。ただの胃炎と思っていても、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、または胃がんが隠れているという可能性もあります。漫然と市販薬で対処せずに専門的な治療を受けることをおすすめします。
まとめ
胃炎におすすめの市販薬を紹介してきましたが参考になったでしょうか?市販薬の胃薬は非常に多くの種類が販売されているので、自分の症状に合わせて選ぶことが大事です。選ぶのが難しい場合には、遠慮せずに店頭で薬剤師や登録販売者に相談してみましょう。胃薬ならば安全と思われがちですが、どんなお薬であっても市販薬は安全に正しく用いることが大切です。
また、胃薬で一時的に良くなったとしても原因が無くならない限り症状を繰り返してしまいます。暴飲暴食はさけ、ストレスを減らして十分な休息を取るように心がけましょう。
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